戸建分譲に対応

分譲は住宅の分譲地、分譲住宅地のことです。分譲住宅と呼称する場合はマンションも該当しています。

借家に住むか、持家に住むかは影響を受けない。これが従来の経済学での議論である。 長期的には低金利で家賃が下がるこのような議論をすると、「地価上昇率が高くても、家賃の低下にはすぐはね返ってこない」、「そんなことは現実には観察されない」という反論が返ってくるだろう。
しかし、バブルといわれた1980年代後半の地価上昇率が高かった時期に、顕著に持家率が上昇したという事実は観察されていない。 さらに、ここ数年の低金利が持家率を高めているという報告も聞いたことがない。

しかし、最近の金利の低下は、家賃の低下をかなり説明できるだろう。 景気が悪いので家賃が低下しているという側面もあるが、家賃の低下と金利の低下は右の議論と矛盾しない。
こう考えると、利子率や人々の予想地価上昇率は、長期的には家賃に反映されると考えられる。 しかしここで、現実にアパートを借りる場合のことを考えてみよう。
金利が下がったからといって、すぐさま大家から「家賃を値下げします」という電話が入るわけではない。 また、現実のデータを見ても、予想地価上昇率が上がっているほどに家賃が下がっているわけではない。
利子率や地価上昇率が変化したからといってすぐに家賃が変化しない理由は、一つには、後に述べるように、借地借家法にあると考えられる。 借地借家法のもとで借家権が強く保護され、実質的な長期契約が保証されているために、家賃は利子率の短期的な変化や予想の変化に対して柔軟に変化しないのである。
利子率が高くなっても、家賃を上げることはできないし、地価上昇率が高まったからといって、継続家賃を下げることはしない。 このような現実の法制度を前提にすると、利子率の変化は、「持家か、借家か」という選択に影響を及ぼす。
多くの人たちが持家を持ちたいと考える理由の一つは、ここにある。 この点は、次章でもう少し詳しく考えることにしょう。
どの国でも借家は小さく持家は大きいそれでは、何が持家と借家の選択に影響を及ぼすのだろうか。 ①所得水準は持家・借家の選択に影響するか。
②持家と借家に規模の差はあるか。 というこつの問題である。
以下で考えるのは、①の問題に関していえば、右に述べたように、人々は年齢や所得の上昇にともなって、借家から持家に居住形態を変化させる。 一般に所得水準の低い人たちは借家に住み、所得水準の高い人たちが持家に住むという傾向がある。

②の問題に関しては、どの国でも、借家のほうが一戸当たりの規模が小さい。 欧米諸国では、平均すると借家の規模は持家の約8割程度である。
つまり、持家の規模を10OMとすると、借家の規模はおよそ7018OMというのが欧米諸国の平均である。 しかし、日本では持家の水準は欧米とそれほど変わらないが、借家の規模は4015odで、欧米にくらべてはるかに小さいのが特徴的である。
この差は、次章で説明する借地借家法の影響が強いと思われる。 ここでは、日本に固有の問題ではなく、なぜ持家にくらべて借家の規模は小さいのかという、多くの国に共通する点について考えてみよう。
従来の経済学の議論に従うならば、持家にするか借家にするかは無差別である。 しかし、それが正しいとすれば、持家と借家の規模の格差はそもそも生じないはずである。
それでは、一般的に借家のほうが規模が小さくて、持家のほうが大きいという事実は、どのように説明されるのだろ、っか。 両者の規模の差を説明するカギは、取引費用とエージェンシー・コスト(情報の非対称性)である。
この二つの概念を用いて、持家と借家の規模がどのように決まるかを考えてみよう。 先ほどの例と同じように、いま住宅を保有しており、その住宅を自分で使うか、あるいは人に貸すかという選択の問題に直面している場合について考えてみよう。
住宅を自分で使う場合と他人に貸す場合とで大きく異なるのは、住宅をどのように使うかという点である。 他人に自分の家を貸すときには、いろいろな障害が生じる。
大家さんが借家人のことで最も心配なことは、家を大切に使ってくれるか、近所の人とトラブルを起こさないか、といったことである。 自分でその家を使う場合には、こういった問題は起こらない。
家を大切に使わなければ、自分の資産価値が下がるだけだから、乱暴に使うのは合理的ではない。 住宅の資産価値を維持するためには、近隣の人とのトラブルを避けるのも、住宅を持つ人の知恵である。

土地や住宅を人に貸す場合には、借家人がどのような人かをよく見きわめなくてはならない。 しかし、いつもその借家人を見張っているわけにもいかない。
これは、家を他人に貸すときに最も心配な点である。 不動産屋の前に立ってアパート探しをすると、「水商売お断り」とか「子ども不可」といったチラシが目に入るのは、家主が特定の人たちについて不信感を持っているためである。
もちろん、借家人の不注意によって住宅資産に生じる損害や事故に対処するには、特定の契約を家主と借家人の聞で結べばよい。 これによって、事故の確率を低下させることができる。
しかし、どこまでを借家人の責任とするかを契約書に明確に記載することは不可能である。 さらに責任の所在を第3者に示すことは、もっとむずかしい。
したがって、家を自分で使わずに他人に貸す場合には追加的なコストが発生する。 このような家主と借家人の聞の情報の非対称性から生じるさまざまなトラブルのために、発生する費用は、エージェンシー・コストと呼ばれる。
このような費用をなぜエージェンシー・コストと呼ぶかというと、賃貸借契約には、必ず委託人(プリンシパル)と代理人(エージェント)の関係が存在するからである。 エージェンシー・コストについて、もう少し説明しよう。
たとえば、企業経営についても情報の非対称性が存在する。 この場合は、企業の所有者(H株主)が委託人であり、企業の経営者が代理人となる。
株主は、みずから委託した資金や資産が効率的に利用されて、最大の利潤が得られることを目的としている。 これに対して、代理人である経営者は、株主のこのような要請よりも、みずからの欲求を満たすことを優先する可能性がある。
みずからの地位が安奉であれば、利益を上げるよりも自分の地位や待遇を改善するほうが重要だと考える経営者がいるかもしれない。 このとき、利潤が低下しても、それは経営努力を怠ったからではなく、企業の外的な要因であったと主張することができる。

これができるのは、経営者のほうが株主よりも経営についての多くの情報を持っているからである。 代理人は、このような情報格差をつねに利用することができる。
倒産しても、自らの経営の失敗を認めずに、銀行の責任にしたある有名デパートの経営者が一つの例である。 不良債権が累積した銀行の預金者は、委託人の一人であるが、不良債権の発生に対していかに無力であったかを考えれば、この情報の非対称性が深刻な問題を引き起こすことがわかる。
そのときに発生する社会的な費用をエ|ジェンシー・コストといい、経営努力を怠ったために発生する損失や、それを防ぐために講じた制度設計のコストがこれに含まれる。 このようなエージェンシー・コストは、あらゆる契約について生じる可能性がある。


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